とくになにもないよ

パワプロとか雑記とか #などと

AIノベリストで小説を書いた。

https://ardeagle.hatenablog.com/entry/2021/10/28/201629 の多分別視点版です。

 

以下本文

 

ある日、鈴木くんがサッカーで盗塁を決めた。彼は自分の得意なポジションである「四番」を名乗り始めたのであった。私は最初意味がわからなかったが、今となってはそういうものだと思っている。

「いや、それはおかしいよ」と言い出した者は一人二人いたが、いつしかその流れは自然と受け入れられていた。そして私はいつの間にか四番打者を気取っていたのであった。
ただそんな風に、1週間に一度の割合で、誰かが何か新しいことを言い出すのだけれど、その度にまたみんなすぐに忘れてしまう。

そしてある日、プロサッカー選手でありプロ野球選手でもある田中選手が報道陣の前でこう言った「野球でコーナキックをする人がいるように、サッカーでもホームランを打っても、それがファールではなくホームランになっていいじゃないか、と私は思うのです」
「これからは野球とサッカーは一つのスポーツになるのです。そしてこれを”ベースボール”と呼ぼうではないか!」
「これは私の子供の頃からの夢でした。皆さんもどうか、一緒になって夢を見ましょう!」
この宣言はニュースとなり、全世界の人々から祝福された。 『これが本当の革命なのか。』私はそう思った。

翌日からメディアは”ベースボール”一色だった。今まで「野球」「サッカー」と呼ばれていたスポーツには「ベースボール」という名前が与えられた。
もう野球やサッカーのルールを変える必要は無いし、野球やサッカーのルールを覚える必要も無い。ただ単に「ベースボール」と言えばいいだけだからだ。
私もいつの間にか、「野球の投手になろう」、「サッカーのキーパーになろう」とは思わなくなっていた。私は「野球選手」、「サッカー選手」なのだ。何一つ悩むことなんてないんだ。
そして私はベースボールの練習をした。ベースボールのピッチャーになるためだ。そしてホームランを打った時、それをわざと大きく空振りして見せることが大事なことに気づいた。ホームランを打つことは素晴らしいのだが、それをゴールキーパーに取られたら意味がないのだ。また相手ゴール前に盗塁を決めるのにもコツがいる。相手のフォワードの動きを観察する必要があるからだ。もしそれを怠ったら、せっかく良いところにまで行っていても相手に抜かれてしまい、そのままボールをゴールされかねない。また、ボールを取りに行くことも重要な役目である。ボールを奪い取った後、すぐそこに居るチームメイトに素早くパスするのも良いプレーである。
やがて私は「キャプテン」と呼ばれるようになった。
ある時、鈴木くんが試合中に足を捻挫してしまった。とても痛そうだ。そこで私はこう提案することにした。

「キャプテン! 俺を代走として使ってください!」
しかし、その時既に鈴木くんは私の事を「キャプテン」と呼んでくれていたのだ。なので、私は鈴木くんの代わりに代走を務めた。
私は走った。全力疾走でグラウンドを駆けた。
「がんばれ! 走れ!」
私はその勢いでホームインをした。その勢いでチームは勝利した。またある時は「キャプテン! 代打に出てくれませんか?」と言われ、それに応じて打席に立つことにした。
だがいざ自分が打とうとすると緊張してしまい、いつものようにスイングができない。すると、
「落ち着け!」と守備についている他の選手達に怒られた。そしてその声を聞いて私は少し落ち着いたのであった。そして冷静になった私は、いつもより強いスイングをしてみた。するとボールは相手ゴールネットに吸い込まれていった。
そしてベースボール大会の決勝で私は、最大の活躍をしてみせた、試合終了まで残り4分。1-3で負けていた。相手チームのキーパーの守りが固く、なかなか得点することができないでいた。そこで私は考えた。
(そうだ、あの手を使おう)
私はまず相手のゴールから遠い位置で高く飛んだ。その後、シュートを打った。これが逆転満塁ホームランになった。
こうして私のチームが優勝したのだった。ちなみにこの時のプレイが評価されてか、「最高のキャプテン」と呼ばれるようになり、私も嬉しかった。

その後私は大学に進学した、大学でもベースボールは続けていたが、就活が忙しくなりやがてやらなくなっていった。
ベースボールの時間を犠牲にしてまでも就活をしたおかげもあり私は一流企業に就職することができた。
会社に入ってからも、私の人生は順調で、27歳の頃、結婚をしその後1人の子を持つことになった。名前は翔太、男の子だ。

子どもたちのあいだでももちろんベースボールは人気だった。そしてベースボールはここ10年の間に、驚くべき進化をしていた。今では野球というよりかはむしろサッカーの派生競技であると言った方が分かりやすいかもしれない。
子供達の間でベースボールとその他球技の区別がつかなくなったように、いつしかバスケットボールとベースボールの区別もわからなくなってしまった。今では小学生も、高校生も、プロのサッカー選手もみんなベースボールをやっている。もはやこれはベースボールなどではなく、野球と呼ぶのも烏滸がましいのではないか? ただ単に「ベースボール」と言えばいいだけなんじゃないか、そう思ったこともあった。
私もそんなことを考えながら日々の労働に明け暮れる社会人だった。
ある日のことだった。私が働く会社に一人の男が入ってきた。その男は入社早々上司にこう言ったらしい。
「私には夢があるのです。」
男の名は上田と言うそうだ。彼は「プロベースボール選手になりたいのです。」と言った。
その時、私は思った。
(あぁこいつバカなんだな)
しかし上司は朗らかな表情でこう言った「なるほど君もかね! 実は僕にも夢があるんだよ。」
どうやら上司の夢というのはプロベースボールの選手になることのようだった。上司はこう続けた。
「それはね、『監督』だよ。」
「へぇ、監督ですか。じゃあ僕はコーチになりますよ。」
こうして二人は意気投合した。そして二人は会社をやめた。
私は驚いた。まさかスポーツ1個のために地位も捨てる人がいるとはと。

そして、彼らの行動力に感心もした。ただ、二人の将来が心配ではあった。だがその予想は大きく外れることとなる。
なんとその会社は2人とも数年も続き、さらには二球団目まで作ったのだという。さらにそこから業界最大手にまで成長してしまった。そして彼らは、その企業名を、そのまま自分の名としたのだ。
その名も株式会社 上田ファイターズ。それが彼らが作り上げた会社の名である。
「私は社長兼選手として頑張っています。あなたもぜひ監督兼コーチとして我が社に来て下さい。そして二人で共に日本のベースボール界に革命を起こしましょう!」のCMを聞かない日は無かった。

またベースボールは世界中で人気で、インドでは沐浴をしながらベースボールをする人や、フランスではベースボール・ワールドカップの開催も行われているし、ブラジルではプロの野球選手たちが野球教室を開いたりしている。

またベースボールの始祖である田中選手は世界中で大人気であり、世界中の何処ででも尊敬されているとか。それにあやかり子供の名前に”タナカ”とつける人もアメリカなどではいると聞いた。

このように世界中でベースボールという競技が愛され続けていることは素晴らしいことだと思った。
だが、その一方で日本では、ベースボールはサッカーから派生したスポーツという認識が定着してしまっている。これは果たして正しいことなのか…………。

このことについて翔太に話したところ意外な答えが返ってきた。「ベースボールはベースボールだよ?サッカーも野球もベースボールだよ。たしか卓球もベースボールだと思うよ?ベースボールはね、どんなものでも混ぜることができるんだ。野球も、テニスも、バスケも全部一緒さ。だってボールが違うだけでルールは同じだもの。ベースボールが混ざったって別に問題はないと思うんだけどなぁ。」

そう言われれば確かにそうだなと納得した。ベースボールはベースボールなのであり、ぬるま湯が水と熱湯の混合物であるのか、熱湯が冷めたものなのか、水が熱湯になるまでに通る過程なのかが無視されるように、ベースボールがサッカーであるか、野球であるかは関係ないのだ。

それは、たとえばベースボールを野球の派生競技と呼んでも良いし、逆にサッカーの派生競技と考えても構わないという事なのだ。それどころかバレーボールがバスケットボールから進化したものであることを思えば、ベースボールもまた同じ進化を遂げるだろう。

要するにベースボールという概念は曖昧模糊としており、定義付けしようにもできないのだ。だから野球かサッカーかという問題は永遠に決着しないのだ。それはもはや私達の頭では解決できる問題ではないのだが、それは些末なものでしかない、なぜならそれよりもベースボールは楽しいからだ。

あれから更に何年かが過ぎ、翔太は中学生となった。
翔太は中学校ではベースボール部に所属した。頑張っているそうだ。彼は上田ファイターズに入団したいと言うので「その会社は、僕の会社の人がわざわざ会社を辞めてまで作ったんだよ。」と言うと翔太は目を輝かせて「やっぱり上田さんはすごいなぁ!父さん、サインもらった?」と言ってくれた。私は嬉しかった。

そういえばあの時、田中選手が言っていた「ベースボールには無限の可能性がある」という言葉の意味も、今となってはよくわかる。「ボールさえあればどこでもできるスポーツ」という意味で、こんなに自由な遊びは無いと私は思う。また、どんな球技もそうであると言えるだろう。バレーボールも野球も卓球も、そしてベースボールさえも、どんなものでも混ぜてしまうことができるのだ。それこそが「ベースボール」の面白さなのだと思う。

翔太が2年生のとき、翔太の所属しているチームの試合を見に行った。場所はゴルフ場であった事を覚えている。そしてそこで翔太が大活躍を見せていた事も鮮明に覚えている。それはもう凄かった。翔太は身長が170cmあり、体格はいい方だったので、パワーのある選手だとは思っていたが、彼のプレーを見たとき私は驚愕した。翔太はバッティングは言うに及ばず、守備でもパスが上手かった。スピード面では相手の打球を避けながらフェアウエーをドリブルしていくところを見て、彼ならばプロの選手になれるのでは?と思ったほどだ。しかしそんな思いとは裏腹に彼のチームは敗北した。その試合では相手チームの方が実力があったのだろう。
相手チームの選手は3番ホールにてホールインワンを決め、また5回にはスリーポイントシュートと決め、また6回にはツーポイントシュートを決めるなど活躍したという話を聞いた。一方翔太たちは負け続けたのだそうだ。翔太曰く「あいつら強いやつらとやるときは絶対1人しか打たないからなあ。」だそうだ。
その後翔太たちのチームは3位決定戦にて勝ったが、翔太は悔しくて仕方がなかったらしく、帰り道に「次こそはホームラン打ってやる!」と言っていた。
翔太は、沢山のクラブに所属したり辞めたりしていた。そしてどのクラブでもレギュラーになれなかったようだ。それは彼にとってはとても辛いことだったろう。だが、そのおかげで色々な経験ができたとも言えるだろう。
翔太はスポーツ推薦で全寮制の高校に通うことになった。
「僕、上田さんみたいになりたいんだよねー。」と言われたことがある。そのとき私は「彼はすごいよ。好きな事を仕事にしてるんだもん。」と答えた。すると翔太は「そうなんだぁ…………。」と呟き、何かを考え込んでいたようだった。

それからしばらく経ったある日、翔太から電話がかかってきた。
「ベースボール、ベースボール、ベースボール。」
「どうしたの?翔太。」
「ベースボールじゃないスポーツってあるの?」
「あるんじゃない?相撲とか短距離走とか、あとは…アーチェリーとか?」
「いや、相撲はベースボールだよ?だってほら見てみなよ、まわし着てるでしょ?」
「ああ…そういえばそうかな…けど、相撲だって色々ルールはあるでしょ?」
「それは相撲部屋が違うだけでおんなじさ!短距離走も同じだよ。だって短距離走はねベースボールだから。ベースボールって言葉を使うのは、みんな一緒なんだ。だからベースボールじゃなくてもルールは同じだよ。」
なんというか、「ベースボールは怖い」と思った瞬間である。
ベースボールは様々なスポーツを吸収し、大きくなっていった。そしてソレが大きくなるにつれて他のスポーツもそれに影響され始めた。例えばフェンシングでは、突き刺す動作がベースボールに似ているため、フェンシングもベースボールになったし、スキーもベースボールになった、スキー板が野球帽の形になっているのはそのせいだと言われているらしい。もちろんクリケットは今でも残っているのだが、その形からしてベースボールに近い。またテニスは元々、ベースボールのようにコートの中を走り回り、相手の陣地へボールを返す遊びが発祥であったため、ベースボールとされる。また馬術も今ではベースボールだ。なぜなら馬に乗っているからだ。
つまり、ベースボールという言葉はあらゆるスポーツに影響を与えているのだ。
私の息子、翔太はベースボールをしている。しかし私が子供のころのベースボールとは異なったものとなっている。

「…翔太、ベースボールは”本当に”好きかい?」
「うん!大好きだよ!!」
「そっか……それならいいんだけど……。」
と電話を切った。私は不安に思うのだ。
もしこの先、ベースボールが別のものになってしまったら、翔太にとっての本当のベースボールはなくなってしまうのではないかと。

私はテレビをつけ、ベースボールを見ることとした。そこでは驚くべきようなことが行われていた。まず第一にキャッチャーだ。今はマスクをしているが、私の少年時代にはヘルメットをかぶっていたように思う。第二には、今見ている試合には敵チーム、相手チーム合わせて100人ほどがいてグラウンド上で「カバディカバディ」と叫びながら各々殴り合っている。第3にはバットを振る選手が10人いる。彼は打者としてではなく守備についていたはずだが……しかしそんなことは関係なかったのか……、とにかく守備位置から離れてまでスイングをしてしまっていた……、そのことに監督は喜んでいるようだ。驚くべきことはまだまだいっぱいある。ピッチャーが投げるとき、捕手が投手の手を持って振り回しながら投げるのでは無いということにも驚かされたし(おそらくそういう時代があったのだろう)、バッターボックスから出るときにキャッチャーに向かってボールを放り投げたりする選手もいる事などである。
私は愕然とすると共に思ったのは、 果たしてこれが正しいベースボールなのかと。翔太は正しいベースボールをするだろうか。翔太はまだ子供だが、翔太もいつの間にか大人になる。きっと彼はいつか気づくだろう、ベースボールは野球であったことを。

またある日の試合ではマウンドにはかがり火があった。それはまるで神聖な儀式のようだった。

そして別の日の試合では選手は皆裸で馬に乗り槍を持っていた。そしてそれが何試合も続いたのだった。

また大晦日の試合では選手は全員全身から汗を流していた。そして試合中に新年を迎えると、皆東へ向かって走り出した。どうやら、その先にはお釈迦様がいるらしい。そしてそのお釈迦様が「世界各地のベースボールマンよ、明けましておめでとう!」とおっしゃった。

そして私はこう考えた。「ああこれはもうダメかもしれないな。」そして、その通りだった。

ある日の試合だった。それは翔太の高校の地区大会であった。そこで翔太はホームランを打った。しかしそれは、かつて私が見たことのあるような野球のホームランではなかった。まずボールは直径が1m近くあり、それは火を纏っていて、そしてそのボールは空高く飛んでいった。そして翔太はそれをキャッチしホームベースを踏んだ。
「翔太!!お前は今何をしたんだ!?」
「え?ホームランだけど?」
私は叫んだ。
「そうじゃない!なぜあんなボールを打てたんだ!アレはどう考えてもおかしいぞ!アレはベースボールじゃない!アレはベースボールじゃない!あれはベースボールじゃない!あれはベースボールじゃない!あれはベースボールじゃない!」
翔太はこう返す。
「でも僕、ホームランを打ったんだよ。」
「違う!それはホームランなんかじゃない!ただの内野フライだ!!」
「………………内野ってなに?」
「……内野ってのはね、つまり……」
私は説明しようとしたが、うまくできなかった。
「まあ、いいじゃん!それより早く帰ろうよ。」
翔太は高校の寮へ帰っていった。

私は思った。
翔太はもう、本当のベースボールを知らないまま育っていくのだろう。
私はもう一度あの頃の純粋な気持ちを思い出したいと思った。
しかし、それを思い出しても意味が無いことも分かっていた。

そんな事を思いながら、テレビにてベースボールの試合を見る。そこでは、やはり奇妙なことが起こっていた。
バッターボックスに入った選手はラケットを振り回している。するとそこにゴールキーパーが来て、「よし、ホームランだ」と叫ぶ。するとコート内の全部の選手はラケットを振ったあと、ラケットを投げ捨てる。
「なんなんだ、コレは……。」
私が呟くと、横にいた妻が答えてくれた。
「アレはですね、バッティングですよ。」
「?」
「はい。バッターがラケットを振ることによって、打球が飛ぶんです。そしてその打球が飛んだ先によって点数が入るわけです。例えばさっきの場合ならホームランなので点が入ります。得点が入ることをヒットといいますけど。バッターボックスに入った人はボールを素手で持つことはできないのでラケットを使って打つんです。それでラケットの振り方が下手であればその人の打撃成績は最悪ということになりますし、うまい場合はスリーポイントシュートを打つこともあり得ますね。まぁ大体はダブルフォルトになって減点になるんですけどね。また試合終了777秒前になるとコートの中の全員がラケットを持ってグラウンド内を走り回り始めるので試合が終了するわけです、ただその際にハンターに捕まると1分ほど動けなくなるのでソレを短剣とAK-47を使いどう防ぐかが見てておもしろいですよ。」
「……?」
「また一番印象に残った試合は去年の夏行われた、甲子園で行われた大会ですが、そこでトライを決めた選手がそれを決める3分前にこう叫びました『俺は今日絶対にホールインワンをきめる!!俺はこの打席でツーストライクを取る!!俺はここで背負投を決めそいつを相手ゴールへ投げ込む』と叫んでいました。そして打席に立ったその人は見事に三振してしまいました。残念。そしてその時叫んだセリフがこうでした。『俺にはわかっている!これは絶対に決まる!!』そして彼はホールインワンを達成しました。そして見事優勝を勝ち取りました!」
「…………。」
「どうです?面白いでしょう!」
……とても面白くなかったし、むしろ怖かったのだが私は言った。
「ベースボールって結局何なんさ?」
妻は答えた。
「それはですね、皆さんの心にあります。ベースボールとは心なんですよ。」
「???」
「人間は何かを考える時、自分の頭の中で考えていますよね。その頭の中にあるものをベースボールで表現して、それを皆に投げているのです。それがベースボールなんです。例えば、あなたがベースボールをする時にはベースボールを愛する。そしてベースボールはあなたの心を愛している、という事なんです!そうです!だからあなたがホームランを打てばベースボールは喜び、ファールを打ったら悲しみ、いいパスが出せたりヒットが出たら嬉しくてたまらなくなり、そしてロングシュートを決めればベースボールはあなたとともに喜ぶ、そんな存在なのです!!さあ、ベースボールをはじめましょう。まず最初にする事はなんでしょうか?そう!キャッチボールですよね!?そうです。ベースボールをするにはこれが欠かせないですからね。じゃあいきますよ~!」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!!」
私は目の前のものが信じられくなった。なぜだかはわからない。ただ一つ言えることは、私が子供のころ見ていたベースボールは偽物だったと言うことだ。私はまだ何も知らないまま育った翔太のことが少しだけ心配になった。

ベースボールはベースボールであってベースボールではない。

そうか。

ベースボールは全てなのだ、きっと翔太もベースボールで、私の妻もベースボールだ、私の人生や上田さんも全てベースボールなんだ、子供の時のチームメイト、鈴木くんもベースボール、ベースボールを考案した田中選手もベースボール、野球選手全員ベースボールなんだ、そうだ、私が私であるようにベースボールはベースボールなんだ、私は今気づいたんだ、私は今までベースボールのことを何も知らなかったんだ、私は今までベースボールのことをベースボールだと思い込んでいたんだ、いやベースボールなんていうものは存在しなかったんだ、私がベースボールだと思ったものがベースボールなんだ、私がベースボールだと思っていていなかったものもベースボールなんだ、私の人生をベースボールだと思えば私の人生はベースボールなんだ、私の人生をベースボールだと思うだけで私の人生はベースボールになるんだ、私は今まで何をしてきたんだろうか、私は今までベースボールのことばかりを考えていたんじゃないか。

「…………。」
私はふと我に返った。
「あ、すみません。つい興奮してしまって……。」
「いや、大丈夫だよ。それより君は本当にベースボールが好きなんだね。」
「はい。大好きです。」
妻は満面の笑みを浮かべていた。
「じゃあ次はバッティングセンターへ行こうか。」「はい!でもどうしてバッティングセンターなんですか?」
「君のホームランをもっと見たくてね。」
「はっ!わかりました。ではいきましょう!」
「よし、いこうか。」
私達はバッティングセンターへ向かった。
バッティングセンターに着くと妻は言った。
「まずは何からやります?」
「じゃあとりあえずホームランを打ってみてくれないかな。」
「えぇ!?いきなりですか?うーん……じゃあやってみます!」
「頑張ってくれ。」
「はい!じゃあいきます!」
妻はバットを構えた。
「おおおぉぉぉぉ!!!」
妻は雄たけびを上げた。そして思い切りスイングした。しかしボールは当たらなかった。
「くそぅ!次こそは!」
「もう1回やるかい?」「いえ、いいです!次いきましょう!」
「わかった。じゃあ次はピッチングマシンの方にしようか。」
「はい!わかりました!」
妻は再びバットを構えてピッチングマシンの方を見た。
「よし!いくぞ!」
バキッ!!
「やったぁ!!」
「おめでとう。ホームランだね。」
「ありがとうございます」

こうして、私達のベースボールは続く。
ベースボールとは幸せな瞬間であった。
ベースボールをしているとまるで翔太や妻と一体になった気がしたからだ。
今までベースボールを奇妙なスポーツだと思っていたけど今は違う。ベースボールはベースボールなのだ。ベースボールにはルールはない。なぜならばそれはスポーツではなくベースボールだからだ。
ベースボールをすることによって私達は一体となる。
そしてみんなが幸せになれるのだ。
ベースボールには善悪など存在しない。あるとしたらそれは存在しないということだ。
だから私達にとってベースボールはとても神聖なものであると言えるだろう。そしてこの神聖さが人間を幸福にするものだとも言えるのではないかと思う。
ベースボールにおいて最も重要なことは何かと言えば、やはりコミュニケーションであろうと思われる。つまり、自分だけでなく他人を思いやることが必要なのである。それができなければベースボールはできないと言っても良いくらいだ。
だからこそ私達はお互いを尊重しなければならないのである。人はそれを成長と呼ぶ場合もあるが全く不自然にそのようなことを考え続けるというのは自然なことに逆行したことと同じであると言えうる。

結局我々は成長したくない生き物ではないかという議論に答えはないがそのとおりではないかと想像するところも少なくはないというのが真実である。ただ我々の考えが正しいかどうかなんてことは全く意味の無いことであるかもしれないということなのではないかということも理解できるような気もしたりしなかったりするのだが果たしてそんなことを今語ってみたところで仕方が無いということでもあったりするような無かったりした感じなのであまり深く考えている暇もなかったりするのでまあどうでもいいとしておいてさっぱりと忘れることにした。それよりもベースボールだ、ベースボールだ、ベースボールだ、ベースボールは全てだ、ベースボールは神様だ、ベースボールは真実だ、ベースボールは救世主だ、ベースボールは世界だ、ベースボールは私だ、ベースボールは私の人生だ、ベースボールは私の全てだ、ベースボールは私の全てだったんだ、ああ、ベースボールは楽しいなあ、ベースボールは素晴らしいなあ、ベースボールは最高だなあ、ベースボールは正義だなあ、ベースボールはベースボールだなあ、ベースボールはベースボールなんだなあああああ。

[ビデオが終わる。照明が明るくなり、先生が教壇で話しだす。]
ーーーーーーーーー
…このようにしてベースボールは人を狂わせ、やがて2068年末の社会崩壊事件、そして2069年のベースボール事変と呼ばれる、ベースボール以外の概念の物質的消失事件と繋がったのである。

火星に人類が到達したのは今から40年ほど前だった、そのときはまだベースボールは異常なスポーツではなかった。しかし時間が立つに連れすべてのスポーツ、すべての宗教、すべての文化がベースボールに飲み込まれていった。
ベースボールという概念によって人々は幸福になり、ベースボールという概念によって人は堕落し、ベースボールという概念によって世界は滅びた。
しかし人々はそれでもまだベースボールに熱中していた。いや、熱中というよりも依存と言った方が良いだろう。とにかく彼らはベースボールのことしか考えられなくなっていたのだ。ベースボールがなければ生きていけない。幸いにも火星ではその危険性に気づいていた人が多くいたので2052年までにそれを禁止にすることができた。
ただ、地球ではそうはいかなかった。地球ではベースボールは狂気であり、もはや正気を保つことすら難しいほどにまで人々を蝕んでいたのだ。
そこで2058年、ある国の政府はベースボールを禁止した。
しかしそれに対して暴動が起きた。そしてベースボールにより超人的な力を得ていた人々は政府に対して戦いを挑み、勝利してしまった。これがきっかけで社会崩壊事件が始まった。まず2059年には
ベースボールを信仰する宗教団体が誕生し、人々を次々と洗脳していった。さらに2060年にはベースボールの大会が開かれ、優勝賞品としてベースボールの概念が人々の頭に埋め込まれてしまった。これによって人々はますますベースボールに溺れていくことになった。
また、2065年にはある国でベースボール禁止令が出された結果、ベースボールによるテロが多発し、ついにはベースボールを禁止する法律まで作られてしまった。しかし人々はそれでもなおベースボールを愛し続けていた。ベースボールのない生活など考えられない。ベースボールさえあれば何もかもうまくいく。ベースボールは素晴らしい。ベースボールこそが正義だ。と人々は叫び続けた。
そして2066年1月、ある国が存在しなくなった。存在しなくなったというよりベースボールに取り込まれたと表現した方が正しいかもしれない。ベースボールを否定するものはベースボールではなく、ベースボールファンはそれを認めないからだ。こうして社会崩壊は連鎖した。
そして2068年、ついに社会は崩壊した。
ベースボールという概念が世界を覆い尽くした。
人々はベースボールのことを愛していた。それはもう愛しているという言葉すら生ぬるく感じるほどのものだった。
人々はベースボールを崇め、崇拝し、奉った。
人々はベースボールのために生き、ベースボールのために働き、ベースボールのために死んだ。
人々はベースボールの奴隷となり、ベースボールの家畜となった。
2069年3月。ついにベースボールの概念は物資を超え、人間を超えた。
人々はベースボールの肉体を持ち、ベースボールの精神を持つ存在へと進化した。
人々はベースボールへの信仰心から、ベースボールそのものとなることができたのだ。

……かくして地球の人類の歴史は終わった。ただ、最後までベースボールに抗い続けた者もいた。彼等は未だに地球で暮らし続けているらしい。

「…………これが、私の知っている限りの真実です」

火星の中学校ではこのようにして、私達に一体何があったのか、ベースボールとは何なのかを習う。私はこの授業が大嫌いだ。私にはどうしても理解できない。なぜこんなことをしなければならないんだ?人類はどうしてベースボールなんかを好きになってしまったんだろう? 

私達は確かに何かを間違えているのではないだろうか……? 先生の話が終わると、教室の中がざわめき出す。

みんな口々に話し始める。

「なあなあ、俺のお母さんの兄はベースボールにハマった結果腕が60本も生えて、それでいてベースボールが好きだからって理由でバットで人を殺しまくってたらしい!すごいよな!」

「ベースボールって今は禁止されているけど、さぞかし楽しかったんだろうなあ…一度でいいから見てみたいなぁ……」

「俺の親はベースボールに殺されかけたことがあるぜ!ベースボールの球に当たって死にそうになったんだよ!その事がきっかけで火星に来たんだって」

「ベースボールは恐ろしいものだよ。ベースボールがあるだけで人はおかしくなる。ベースボールがなければ世界は平和だったんだ。ベースボールなんてなければ…」

「でもなんでそんなことになったのかなあ?ベースボールが好きだっただけなのに」

 

次の歴史の時間でも2030年から2070年にかけての混乱を習った。そのテキストにはこんなことが書かれていた。『2056年12月、ある県にて町中でのベースボール禁止令が発令された。しかし人々はそれに従わず、ベースボールを続けたため、秩序が崩壊してしまうこととなった』『2062年、ベースボール以外のスポーツは消えた。というよりベースボールに飲み込まれたという方が正しいだろう。はじめはサッカーと野球の融合スポーツであったベースボールは、どんどん成長を続け、バスケットボール、テニス、ゴルフ、卓球、ラグビー、バレーボール、ビリヤード、ボーリングなどをボールを使ったスポーツのみならず、マラソンや剣道、クレー射撃、サーフィンなどの競技や、スキーやカーリングやスケート、ボブスレースノーボード、そしてフィギュアスケートといった、氷上や雪上のスポーツ、相撲やカバディなどの伝統的なスポーツ、馬術や闘牛といった動物を使ったスポーツ。果てにはスポーツハンティングやサバイバルゲームなどの銃を使ったスポーツまで吸収して我が身とした。』

2045年頃、ベースボールは我々の理解を超えたスポーツとなっていた。まず、行われている内容が異常であった。例えばまだ2030年頃にはただ単にボールを蹴り、打つことで得点するスポーツとして認識されていたが、その後ベースボールはボールを打つことによって生じるエネルギーをボールに与えることによって、相手チームの陣地にあるゴールへボールをシュートするという方法が主流になっていった。これはもはやただの蹴るだけの球技ではなかった。そしてフィギュアスケートのように芸術点が競われるようになってからは、芸術点を競うためにさまざまな競技の技術が使われるようになっていった。また「ランナー」と呼ばれる選手がフィールド上を駆け回りながら、次々と打席に入っていくこともあった。古典の野球のルールからするとあり得ないことである。次に盛り上がりが異常であった。なんとベースボールの試合の平均視聴率は83%だったという。それもこれも全てベースボールの力によるものであろう。最後にベースボールはスポーツだけではなく、政治や経済、科学、哲学にまで影響を及ぼしていったからだ。ベースボールが浸透していくにつれ、地球の人口は減少し始めた。それはまるでベースボールによって生命が吸い取られていくかのようであった。当然のことだが、この事態に異議を唱えるものもいた。しかしベースボールは止まらなかった。むしろますます勢いを増していた。ベースボールはもはや止められない存在となったのだ。』

『2060年を迎える頃にはベースボールにルールなど無く、楽しさのみが重視されるようになっていた。なのでピッチャーが機関銃を持って相手チームの人達を惨殺したり、1分に一回爆発が起きたり、ゴールキーパーが戦車に乗り相手のゴールやホームラン、サービスやチキータを無効化したり、果ては味方チーム同士で殺し合いをしたりしても誰も何も言わなくなった。それが楽しかったからだ。』

『ベースボールは人間を超人にしてしまうこともあり、例えば腕を必要に応じて100本生やしたり、戦車の砲弾を蹴り返し、その戦車の装甲に穴を開けたり、戦闘機を素手で撃墜したりする人間が現れた。挙句の果てには7つの目から光線を放ちながら空を飛び、最新鋭装備で固めた一個師団をものの数秒で蒸発させた人までいる。ベースボールによる肉体強化が人々から理性を奪い去ったのは事実だ。ベースボールをやっていれば楽しくて仕方がない。ベースボールをやっている時、人間は無敵なのだ。』

『ベースボールはすべてを超越した。ベースボールはすべての欲望を満たす万能薬だった。ベースボールこそ究極のスポーツである。と2065年頃の人類は思っていた。そして2066年には社会崩壊が決定的になり2068年はベースボールがスポーツであることが否定された。なぜならスポーツが存在しなくなったのでただ単にベースボールと言えばよかったのだ。』

『そして2069年3月、地球上の人類は自らの生み出した概念により、消滅した。』

『その後地球上に残されたのは見放された人や物だけだった。』

『”ベースボールは我々を選んだ。ベースボールは我々の理性の殻を割り、野獣的な中身を具現化させた。ベースボールは我々を調理した。ベースボールは我々を食らった。” 著者不明』

「これって…………」

僕は恐ろしくなる。クラスの雰囲気も悲しく、泣き出す人もいる程であった。

「うわーん!」

隣の席の子が大声で泣く。先生が慌ててその子の元へ行き、宥める。

「おい!どうしたんだ!?」

先生はクラスの中を見回す。

「先生!俺が泣かせたんじゃありませんよ!!」

男子生徒が声を上げる。

「いや、わかってるけどさ。ほら、みんな落ち着いて、な?」

先生はそう言って、皆を落ち着かせる。僕たちは少し冷静になる。そして授業が再開される。

でも、もう授業どころじゃない。教室にいる全員が黙々と教科書を読んでいた。先生だけが黒板に向かって何かを書き続けていた。

「…………えっと、とりあえずここまでかな?じゃあ、今日の授業は終わりにするぞ。号令よろしく頼む。」

 

「きりーつ、きをつけー、れーい」

学級委員の人が、気の抜けたような号令をかける。

「ありがとうございました」

生徒達が挨拶をする。しかし誰一人として挨拶を返すものはいなかった。

「ではみなさん、今日はこれで終わりですので、帰っていいですよ。」

担任の先生はそれだけ言うと職員室に戻っていった。「お、お前らも早く帰れよ。」

他の先生達はそそくさと帰っていく。

「…………帰るかぁ。」

誰かが呟く。すると堰を切ったように、次々と帰り支度を始める。

 

ベースボールは人間の理性を奪う。ベースボールは人の心を破壊する。ベースボールは人々の魂を喰らう。ベースボールは人の命を簡単に奪える。ベースボールは人類の敵だ。

『我々はベースボールを憎むべき悪とする。』

僕はこの文章の意味がやっと理解できた気がする。そして今朝のニュースで見たあの映像。あれはベースボールをやっている人達の映像だったのだ。

「ベースボールは、人間を殺すのか。」

僕は恐怖を感じた。

ベースボールが怖い。ベースボールをやる奴らが恐ろしい。

僕は何もかも忘れたくなって、急いで家に帰った。

家に帰ってきた僕はテレビをつけた。

 

するとベースボールが行われていた時期に地球で撮られたビデオが流されていた。そしてその内容は恐怖と狂気を感じさせるものであった。それはこんな感じだった。『2060年代、日本にある一つの街が出来た。その街の名は【野球】。ベースボールの街である。そしてこの街にはベースボールクラブがあった。そこでベースボールをやっていたのは、とある少年達であった。彼らはベースボールを愛し、ベースボールに全てを捧げていた。彼らのベースボールに対する愛は本物であり、そのベースボールへの愛が彼らに超人的な力を与えていた。ベースボールという存在が彼らを強くしていたのだ。』

『2063年、ベースボールの世界大会が開かれることになった。その大会に日本の代表として選ばれたのが、当時小学六年生の三人だった。』

『まず最初に行われたのはベースボールのトーナメントである。ここで優勝したチームは翌年のワールドベースボールチャンピオンシップの出場権を得ることが出来た。』

『この大会は三日間かけて行われる。一日目、二日目は予選リーグ、三日目に決勝戦が行われる。』

『最初の試合が始まった。1番センター、背番号2、【比嘉】。』

『続いてゴールキーパー、背番号3、【田中】。』

『最後に赤コーナー、背番号4、【野崎】。』

『3人とも小学生とは思えないほど体格が良く、身体能力も高かった。そしてこの世代は子供の頃からのベースボールをしていたため異常な能力を得ていた。比嘉は3mを越える身長を持ち、片手でタンカーを持ち上げるほどの筋力があった。田中は口からプラズマ火炎を放ち、相手を蒸発させることができた。そして野崎は10個の目と10個の耳、そして100本の触手を持つ怪物であった。』

『3人は順調に勝ち進み、決勝の舞台に立った。決勝の相手はなんとロシア連邦代表であった。決勝は日本の【野球】で行われた。』

『試合開始前、マウンド上で緊張している選手がいた。野崎であった。彼はロシア代表【ノヴァク】の恐るべき能力に恐怖していた。其の能力は他のチームからも”ツァーリ・ボンバ”として恐れられていた。なぜなら彼は自分の体から放つ光だけであらゆるものを焼き尽くすことができるからである。』

『試合が始まる。しかし、野崎の投球練習は思うようにいかない。ボールを投げるたびに指先や手首が折れてしまうからだ。』

『だが、ついに本番の時が来た。審判の合図と共に両チームの選手が一斉に走り出す。』

『先頭に出たのはやはりノヴァクであった。彼は驚異的なスピードを持っていた。すると彼は田中と接触した。するとノヴァクは田中とどっちの火力が強いか、恐るべきことに街を焼き尽くして決めようとした。そして実際にそれは行われた。ベースボールスタジアムは一瞬で灰になった。しかしそれでもまだノヴァクは止まらなかった。今度は田中はプラズマ火炎で迎え撃った。街は灰となった。そして両者は激しくぶつかり合った。その瞬間、ノヴァクの体が燃え上がった。そしてそのまま倒れて動かなくなった。』

『この出来事にロシア代表の選手も黙ってはいられなかった。ロシア代表にも超人的な力を持つ人がいた。まず一人は”冬将軍”と呼ばれていた【アレクセイ】であった。彼は周りの温度をマイナス1000度まで下げることができた。これは物理学では考えられないことであった。もうひとりは”雷帝”と呼ばれていた【イワノフ】であった。彼は超強力な電気ショックを発生させることができた。また彼の周りには常に稲妻が走っていた。』

『彼等はお互いがお互い同士の能力を競い始めた。その内容はまるで世界が破滅を迎えようとしているのでは?と思える内容であった。まずイワンノフは野崎の方を向いた。そして手を伸ばし、そこから電流を放った。そして野崎は雷をその触手でキャッチしそれをアレクセイへ光の速さで投げた。その瞬間、二人は吹き飛ばされてしまった。そして二人の能力は互角であり、どちらも一歩も引かなかった。そして戦いは続き、イワノフは稲妻で触れるものを破壊し、アレクセイは空気中の水分を集め氷に変えていった。また野崎は覚醒し触手からビームを放ち、比嘉はタンカーをロシア代表へ投げつけ、田中は口からプラズマ火炎を放ち、それぞれ対抗した。』

『しかし、ここで田中が力尽き倒れた。田中はその力をコントロールすることが出来なかった。田中の意識が遠のく中、田中は最後の力を振り絞り、口からプラズマ火炎を放った。その炎は瞬く間に街を飲み込み、ロシア代表達も飲み込んでいった。そしてその炎の中で若人達、そして【野球】に住んでた人たちは死んでいった。』

『こうしてこの大会の優勝チームが決まった。生存者数が多い日本だった。』

『ベースボールの歴史に残るこの大事件は火星の人によって【ベースボール・クライシス】と呼ばれた。』

『ただ、地球上のベースボールファンはその試合に大興奮だった。もちろんメディアも例外ではなく翌日地球のメディアはこのようにこの恐ろしい試合を伝えた。”熱戦の末、日本がロシア連邦を下し世界一”、”日本にもこんな素晴らしい選手がいるとは”、”熱戦に感動しました。特に最後の田中選手の放ったプラズマ火炎には驚きました。あの威力はノヴァクのそれ以上であると専門家は語っております。”』

『そして、このニュースは全世界に広がり、人々はその試合を名試合と呼び、そして、地球上の人々はベースボールにさらに熱狂していった。そして人々はベースボールに狂っていく。』

……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………私は絶句した。なんだこれ? こんなことがあっていいのか? あまりにも酷い。

あまりにも酷すぎる。

なぜこんなことを? どうしてこんなことを? 確かにこれはひどい

「なんて恐ろしいんだ…………」

僕は思わず声を出してしまった。

「こんなことが本当にあったのか?」

僕には信じられなかった。

僕は急いでパソコンを開きインターネットを開いた。

するとそこにはベースボールの記事が載っていた。

『2067年7月14日、ベースボールの試合にてオーストラリア大陸の10%が蒸発、ユーラシア大陸ではヒマラヤ山脈が消滅。アメリカ大陸では不明な物質を含んだ虹色の雨が降った。アフリカ大陸では気候が大きく変化し、気温が100°C以上になる地域が現れた。』

『2067年7月25日、ベースボールの試合においてアメリカ合衆国がカナダとメキシコの大半を消滅させた。』

そんな記事ばかりが目に入った。

なんということだ。

僕は絶望してしまった。

ベースボールはここまで来てしまっていたのだ。

もう手遅れだったんだ。

人類はベースボールから逃れることは出来なかった。

なんとかしてベースボールを無害なスポーツにしなければならなければならなかったけど、彼等はそれをしなかった。なぜならベースボールは楽しいからだ。そして、それは仕方のないことでもあった。

何故ならベースボールは人を魅了してしまうものだったから。

だからベースボールはやめられなかった。

私は更に絶望した。

 

けど、私達、そして私達の母や父ははその狂気から逃げることができた。でも、それはほんの一部に過ぎない。

きっともっと多くの人がベースボールの狂気に飲み込まれていって死んでいったんだろう。

そして、私達が今生きていることは奇跡に近いのであろう、と私は思った。

するとお父さんが部屋に入ってきた。そしてこういった。

『ほう、今日は学校で歴史の授業をやったのか、どうだ、面白かったか?』

私は答えた。

『ベースボールは怖いよ。恐ろしいよ。』

私はその質問に対してこう答えるしかなかった。

だって、私がその授業で習ったのはベースボールの恐怖についてだったから。

ベースボールの歴史について学んだのは、たったそれだけのことだったから。

私はそう言いながら、涙を堪えることが出来なかった。

するとお父さんは自らの過去を語り始めた。

『俺も昔はベースボールをやっていたんだ。』

えっ!? 私は驚いた。まさか、父もベースボールをしていたとは思わなかった。

お父さんは続けた。

『俺はベースボールが好きだった。そして、ベースボールに夢中になった。しかし、ある日、俺はベースボールをやめた。』

私はその理由を知りたかった。

するとお父さんは言った。

『あまりにもベースボールがおかしくなっていたからだ、だってそうだろ? ベースボールはあまりにも危険すぎたんだ。』

『ベースボールはあまりにも危険なゲームだった。』

『ベースボールはあまりにも狂っていた。』

『ベースボールはあまりにも恐ろしかった。』

『ベースボールはあまりにも悲惨だった。』

『なので、居場所がなくなる覚悟を持って、ベースボールをやめた。』

『それでも、ベースボールは好きだったがね。』

『だが、俺はそのベースボールのせいで家族を失った。』

『ベースボールによって大切なものを失った。』

『ベースボールによって愛する人を失った。』

『ベースボールはあまりにも残酷だった。』

『しかし、火星はまだ狂っていなかった。私は火星に行くために全財産を払った。そしていまここにいる。』

『火星開拓の仕事は大変だった。しかしあの狂ったゲームをしなければいい、と考えれば、楽園のように思えた。』

『もちろん火星開拓には辛いこともあった、仲間はどんどん飢えや乾きで死んでいった。しかし地球上で行われている狂気に参加しなくていいと考えれば、耐えられた。』

『それに、私には妹がいた。彼女は死んでいた、もう何年も前にな。』

『彼女もまたベースボールを愛していた。』

『彼女はベースボールが好きでよく二人でベースボールパークへ行ったものだ。』

『彼女のいない生活はとても寂しいものであった。』

『しかし、彼女はベースボールにより死んだ。彼は3週間もぶっ続けでベースボールをやっていた。死因は四肢の欠損であった。どうやらベースボールのやりすぎによる疲労骨折が原因であるらしい。』

『彼の体はボロボロになっていた。』

『彼もまたベースボールの狂気に蝕まれていたのだ。』

『火星であった妻も同じような理由で兄弟全員を亡くしている。そのうち一人は骨すら残らなかったと言う。』

『私はベースボールが嫌いになった。』

『私はベースボールが憎いと思った。』

『私はベースボールが大嫌いだ!』

『私はベースボールが怖くて仕方ない! ベースボールなんてなくなってしまえばいい!!』

『私はベースボールが大嫌いだ!! 大嫌いなんだ!!! 大ッ嫌ェーイィィーーー』

『けどそう言ったって、死んでいった人々は戻ってこない、私は今を生きている事に感謝している。』

『私はベースボールが好きだった、だから生き続ける。』

『生きることが好きな人は私の家族だ。』

『ベースボールの狂気に飲み込まれて死んでしまった人々のためにも、生き続けなければならない。』

『だから私はここにいる。』

『私はここで生きている。』

『私はここで生きていこうと思う。』

『それが私の使命だと思うから。』

『だから私は生きていく。』

「お父さん…」

私は感動する。そうか、お父さんもベースボールに飲み込まれてしまったのか…… お父さんもベースボールの狂気に飲み込まれてしまったのか………… でも、お父さんは違ったんだ。お父さんはベースボールの狂気から逃げられたんだ。

お父さんは強かったんだ。

お父さんは狂っていなかったんだ。

お父さんは狂っていないんだ。

お父さんは凄いんだ…

私はそう思い、寝ることとした。

翌朝、目が覚めるとお母さんが朝食を作っていた。

そして、私が起きてきたことに気が付くとこう言った。

『おはよう、今日もいい天気ね。』

『お兄ちゃん、昨日はよく眠れた?』

『うん、ぐっすり眠ったよ。』

『それはよかったわ。さぁ朝ご飯を食べましょう。』

『いただきます。』

『ごちそうさまでした。』

『じゃあお父さんを起こしてきてもらえるかしら?』

『わかった。』

私はお父さんの部屋へと向かった。

コンコン

『お父さん起きてる?入るよ?……えっ!?』

そこには目を疑うような光景が広がっていた。

なんと、お父さんはベースボールバットを振り回していた。

『なにしてるの?お父さん?』

私は恐る恐る聞いてみた

「ああ、野球だよ。ベースボールのもととなったスポーツさ、大丈夫だよ。これをしても狂いはしないさ。問題があるとしたらちょっとルールが難しいことと、やる場所があまり無いということかな。ここでは古いスポーツを復興させようとする動きがあって、その一環なんだ、例えば最近ではバスケを復興させようとしてる団体があるから、今度の休みに昔の文化を知るために一度見に行ったらいいよ。」

『そういえば昔、ベースボールを復興させる運動があったよね。あれどうなったんだろう。』

「まぁ、結局失敗に終わったみたいだけどね。」

『そうなんだ。』

「それにしても懐かしいな。私が初めてベースボールをやったのはこの火星開拓事業が始まる前だったな。」

『私も一緒にやっていい?』

「もちろんいいとも!」

『じゃあ私も混ぜてもらっていいですか?』

「もちろんいいとも!みんなでやると楽しいぞ。」

『じゃあ私もやらせて頂きます。』

「よし、じゃあやるか!」

『まずはどうすればいいの?』

「そうだな、まずはキャッチボールからだな。」

『キャッチボールって何?』

「これはな、ボールをお互い投げ合う遊びだ。」

『へぇー』

「じゃあいくぞ?」

『うん!プレイボールだ!』

こうして、火星の日々は過ぎていく。私は学校へ行き、友達を作り、勉強をし、スポーツをして、帰って、お父さんとお母さんとに夕食を食べる。

そんな毎日が幸せだ。

ベースボール【完】

ーーーーーー

エピローグ

あれから4000年近くが経ち、とっくに人類は地球への帰還を成功させていた。そしてベースボールによる一連の騒動はもはや神話の中のものとされていた。その内容はこのようなものであった。

【ラヘッタ神話:破壊神、フェッズバルの出生と死】

あるところにタン・カー神と言う名のアーフ界の東半分の創造神あり、彼にはバセヴェールとサカーと言う兄妹あり。

ある日バセヴェールとサカーは激しく包容を交わすと、フェッズバルが産まれた。

彼は彼の子と他の神の子らを魅了し、我が子にしていった。

やがて神々は彼を恐れるようになり、彼を殺すことを誓った。

しかし彼を殺すことはできなかった。

そこで彼らは彼を殺す方法を考えた。

それは彼の動作を真似することであった。

彼の動作とは、玉や棒、網や靴を用いて行う競技である。

その動作は、彼のみならず、彼の子、そして他の神の子も行っていた。

しかし、それをしない神の子もいた。

彼等は天空神、ラヘッタの子であった。

ラヘッタ神は自らの神の子を剣に乗せ、それを天上の地、メースへと投げ、自らの神の子をフェッズバル神の目につかない場所へと運んだのである。

ただフェッズバル神はそれを快く思わなかったのか、ラヘッタ神を玉や棒で打ちのめした。

更にフェッズバル神は狂い始め、自分の子供すら殺そうとした。

そして彼は正気を取り戻し、自分を殺しに来た者達を皆殺しにした。

その後、彼は再び狂い始めて、自分の子を皆殺しに、更に他の神の子すら皆殺しにした。

そしてアーフには彼一人となった。しかし、彼は孤独ではなかった。

彼の周囲には、多くの子供達がいた。

彼はその子達を愛した。

しかし、その愛は狂気の愛であった。

彼は自分の子供を自分の手で殺した。

それでも、彼は愛することをやめなかった。

彼は、自分が死ぬことで、この狂気から解放されると考えた。するとその時、天上界メースに隠れていた、ラヘッタ神がアーフに向けてフェッズバル神が玉を投げるように剣を投げた。それはフェッズバル神の首を貫いた。彼は三年間苦しんだ後に死んだという。その後、ラヘッタ神はアーフの地に子らをおろしたという。これがラヘッタ神話における、破壊神、フェッズバルの物語である。

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この物語を模倣して地球(現在ではもっぱら、アーフと呼ばれている。)では鉄でできた剣を投げラヘッタ神に感謝する祭が行われている。これは口語で「ラヘ・ルナンチャエン IPA表記:[ɹaxe lnãt͡ʃaʕẽ] 意訳:”ラヘッタ神はソレを投げた”」と言われている。また、この祭を「ラヘッタ祭り」とも言う。

なお、ラヘッタ神はメースの守護神であり、地球においては、人間が信仰すべき神として伝えられている。またフェッズバル神は、悪魔サータンの別名とされている。

私がAIノベリストで野球選手兼サッカー選手の話を書こうと思ったら話が大きくなりすぎたけん。

最近。私はAIノベリスト(https://ai-novel.com/index.php)という短い文章を入れると勝手にそれを補完してくれるサイトにハマっている。また出力された文章をイジることで自分の思う文章を書かせることも可能だ。

私はそれを使いもしサッカー選手兼野球選手というヤバい人が世界に存在したら?という設定でそれを書いた。はじめはウィキペディアのような体裁にする予定だった。しかし私が余計な手を加えたせいで段々とブログのような内容になり、世にも奇妙な物語の原作の小説のようになり、また最後には老人の回顧録になってしまった。

 

以下はその内容である。

 

田中 圭太郎(たなか けいたろう)とは奈良県奈良市出身のプロ野球選手(内野手)兼プロサッカー選手(フォワード)である。現在は横浜DeNAベイスターズ浦和レッズに所属している。

 

来歴:プロ入り前. 奈良市立平城小学校、奈良市立西中学校を卒業後、奈良県立畝傍高校へ進学した。中学時代はサッカー部に所属していたが、高校では野球部に所属した。3年時に第73回選抜高等学校野球大会に出場してベスト8まで勝ち進んだ。また、2年生時の春には第74回全国高等学校野球選手権大会に出場した。

高校卒業後は同志社大学に進学し、体育会硬式野球部に所属。4年時には主将を務めた。大学でも野球を続けようと考えていたが、プロのスカウトから「君は足も速いし、肩もいい」と言われてサッカーに転向することを決めた。なお、大学では1年先輩に遠藤保仁がいる。

プロ入り後. 大学卒業後の2008年にJリーグFC東京へ入団した。しかし、出場機会に恵まれず、同年9月に退団が発表された。その後、愛媛FCへの入団が決まったものの、わずか半年で退団した。

2009年からは、京都サンガF.C.でプレーしている。2010年にはJFLオールスター戦に出場し、MVPを獲得した。2011年限りで京都を退団。2012年から2013年までは、ヴァンフォーレ甲府に在籍した。

2013年より、プロ野球選手としてのキャリアをスタート。横浜DeNAベイスターズにドラフト8位指名。背番号は21番となった。

2015年7月15日、J1リーグ浦和レッドダイヤモンズへ完全移籍することが発表された。

2016年12月27日、浦和レッズとの契約更改交渉に臨み、年俸を2000万円アップの6000万円でサインした。2017年も引き続きレッズでプレーすることになった。

2017年シーズン、プロ野球史上初の二刀流選手として開幕を迎えた。開幕戦ではスタメン出場し、5回の守備から出場して、1失点に抑える活躍を見せた。しかし、その後は打撃不振に陥り、サッカーにも影響が出て、また野球の試合にも関わらず、守備の際にボールを蹴ってしまうなど、プレーの質が落ちているとして、同月30日に登録を抹消された。

2018年シーズンにはサッカーと野球の両方で結果を残すことを目標に掲げた。6月28日の大宮アルディージャ戦でシーズン初安打を記録。さらに翌29日にはプロ初得点を記録した。また7月17日には初の先発出場を果たした。

2019年シーズンは、開幕から好調を維持していた。しかし、5月に入るととうとう野球とサッカーの区別がつかなくなってしまったようで、試合中にもかかわらずグラウンド内を走り回ったり、ベンチ裏でボール遊びをしたりするようになった。このため、首脳陣は田中に対して休養を取るように要請したが、本人はこれを拒否。結局、7月11日に登録抹消となり、そのままシーズンを終えた。

2020年シーズンは日本サッカー界初となる二刀流選手として活動することになった。10月31日に行われた日本代表対国際親善試合において、代表デビューを果たした。

2021年シーズンから背番号が44番に変更されることが発表された。

人物・エピソード. 趣味はゴルフ。好きな食べ物は焼肉。嫌いな食べ物は納豆。

憧れの選手は元チームメイトの三浦知良

好きな言葉は「一期一会」。

サッカー選手としては小柄だが、その分スピードがある。また世界の野球史上初となるサッカーとの二刀流選手となる。

また、サッカーと野球の両方で結果を残していくという目標を掲げている。

サッカーと野球の混同について.

田中圭太郎がプロのサッカー選手になる以前から、サッカーの試合でも野球のバットやグローブを持って打席に立つことがあった。これについて、「野球選手のくせに何をしているのか?」と疑問を持つファンも多くいるようだが、2010年のワールドカップドイツ大会では「サッカーの試合にバッティングセンター感覚で参加する選手が何人かいた」ことからも分かる通り、別に珍しい光景でもないようである(もっとも、この時の試合に参加していた選手の多くは後にプロになっている)。ちなみに、2011年1月に行われたJリーグ選抜VS海外代表の試合では、田中は試合中に2度打席に立ち(3回裏の攻撃時、6回表の守備開始前)、そのうち一度は内野フライを打ち上げたものその打球はゴールネットに吸い込まれていった。このことは後に「幻のホームラン」と呼ばれているが、当の本人はその時自分が打ったことも、外野に抜けずにフェンスを越えたことすら全く気がついていなかったという。

こうしたこともあってか田中本人にとってはこの一連の出来事は全く記憶にはないらしいのだが、周囲の人間によると、どうもこの田中の態度からして、「実は彼は野球をやっているつもりではないか?」という疑惑が生まれたという。というのも田中のプレースタイルが明らかに野球のそれであるからだ。

 

これからの田中選手とサッカーと野球.

張本勲氏は「2030年までにサッカーと野球は一つのスポーツとなり、世界史上最大のスポーツになる」と語っている。この流れは世界中で起こっており、ドイツでは既にサッカーの試合でも野球のユニフォームを着てプレイする選手もいるし、ブラジルでもサッカーと野球が一体化したようなチームが存在する。

そしてその世界的な流れの最先端にある日本では、サッカーと野球が一緒に練習をする施設が存在している。施設の所長である浜崎さんは語る「これは、日本の子供たちを元気づける大きなチャンスだと思っています。子供たちに夢を与えるために、私もできる限りの協力をしたいと思います」

しかし、未だにルールが未整備であったりするので、今後はルールの整備や野球人気の低下に伴いサッカー人口が減少する可能性もあり、そうなるとサッカーと野球が完全に一体となったり、逆にサッカー人気が上昇して野球の人気が低下する可能性もある。また一部の野球ファンからは「サッカーと野球は別物だ」という意見もある。

またもし完全にサッカーと野球が融合してしまった場合はそれをなんと呼べばいいのか問題があるが、最近の若い子の間ではこのスポーツのことを「ベースボール」と呼ぶことが多いらしい。田中選手はそのことを非常に気にしており、今後自分のことを「ベースボールプレイヤー」と呼んでほしいと言っているそうだ。

[2021年8月1日の記事のバックアップ]

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2049年イングランド

サッカー発祥の地で、かつてはサッカーの強豪であったイングランド。しかし、今ではサッカーをやっているような人はほぼいない。

なぜなら2025年、日本のケイタロウ・タナカという人が野球とサッカーを一つにしてベースボールという新たなスポーツを生み出したからだ。ベースボールはイングランドだけでなく世界中の国で大人気になった。

イングランドだけではない、アメリカ、フランス、中国、オーストラリア、韓国、スペイン、ドイツ、そしてアフリカの国々や中央アジア、アマゾンの奥地に至るまで。

多くの人たちはベースボールに夢中になっていても、未だにサッカーはサッカー、野球は野球として、楽しみたい人も大勢いた。

なぜならば、サッカーも野球も(そしてベースボールも)それはとても面白いスポーツだったからだ。

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「ねえ、知ってる? 日本にはサッカーと野球を融合させた新しいスポーツがあるんだって」

「えっ、何それ。どういうこと?」

「日本のケイタロウ・タナカは野球とサッカーを合体させたベースボールっていう新しいスポーツを発明したのよ」

「うそー、なにそれ。そんなのありえなくない?」

「でも、実際にあるのよ。ほら、これ見て!」

「…………ほんとだ! すげぇ!」

さあ!みんなもベースボールをしよう!

[2028年頃、イタリアなどで放映されたTVCM]

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「さあ、皆さん。ベースボールをやりましょう。

ベースボールをすると、あなたはもっと速く走れます。

ベースボールをすると、あなたはもっと遠くへ投げられます。

ベースボールをすると、あなたはもっと高く飛べます。

ベースボールをすると、あなたはもっと強くなれます。

ベースボールをすると、あなたはもっと速く走れます。

ベースボールをすると、あなたはもっと遠くに投げられます。

ベースボールをすると、あなたはもっとうまくボールを蹴れます。

ベースボールをすると、あなたはもっとうまくキャッチボールができます。

ベースボールをすると、あなたはもっと楽しく野球をすることができます。」

[2030年頃、ベラルーシ共和国で流されたCM。国家を挙げてベースボール振興をしてたらしい。]

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こんな感じで世界中がベースボールに夢中だった。

「おい、ベースボールをやろうぜ!」

「ああ、やるか」

「俺は野球の方でいくわ」

「俺も」

「じゃあ、私はサッカーね」

「私もベースボールにしようかな」

「じゃあ、僕もベースボールで」

「俺もベースボールにするよ」

「僕はサッカーにしとくか」

「じゃあ、私はベースボールで」

「私もベースボールにします」

「じゃあ、俺はサッカーで」

「私もサッカーで」

「俺はベースボールにする」

「俺は野球で」

「じゃあ、俺はベースボールで」

「俺はサッカーで」

「俺はベースボールで」

「俺は野球で」

このような会話も普通に交わされたという。

このようにベースボールと野球、サッカーの区別は段々と曖昧になっていった。2030年頃にはもう区別する必要さえなくなっていた。

そして、2033年には野球とサッカーが完全に一体となった。

去年、ワールドカップの決勝、イングランド対ブラジル戦が行われていた。イングランドはブラジルの攻撃を防ごうとするが、ブラジルの圧倒的なパワーの前にイングランドは敗れようとしていた。

しかし、イングランドには一人、この危機的状況の中でも諦めていない選手がいた。

彼はイングランドのエースストライカーである。彼の名前はジョン・タナカ。

タナカは試合中、何度も絶望的なピンチを迎えた。しかし、タナカは決して諦めなかった。

タナカは6回表に自己最速の160kmのストレートでスローインを決めると、試合時間残り3秒、起死回生のサヨナラ満塁ロングシュートを決めたのである。タナカはその試合以来、イングランドを代表するスターとなり、多くの人から愛された。

そしてタナカはあのブラジル戦でのサヨナラ満塁ロングシュートについてこう語る。「あれは僕の人生で最高のプレーでした。でも、あの試合で私が勝ったわけではないんです。私はあの試合に負けて、また次の試合のためにがんばるんです。」と。彼の背番号09は永遠に語り継がれるであろう。

ーーーー 

タナカ・ケイタロウは、その活躍によってサッカーと野球が融合したベースボールという新しいスポーツを発明した人物として世界中の人々から尊敬される存在になった。

もちろん、彼だけが特別ではない。ベースボールは世界中で大人気だった。

ベースボールは瞬く間に世界中に広がっていった。そして、ベースボールはサッカーや野球だけではなく、様々なスポーツと合体していった。

ベースボールは、バスケットボールと合体してベースボール・バスケになり、ハンドボールと合体してベースボール・ハンドボールになり、バレーボールと合体してベースボール・バレーになった。

ただ、ユネスコの代表は全てのスポーツがベースボールに取り込まれ、もとからあった民俗的なスポーツが消滅してしまうことを危惧している。以下現在のユネスコの代表であるブライアン・リーBCCテレビにて語った内容である。「ベースボールの人気は凄まじいものです。まるで1990年からのITの進歩に似ています。しかしスポーツとは決して娯楽のためにあるのでは無く、民族のアイデンティティを示すものでもあると私は考えています。実際ベースボールの発祥地である日本では柔道や空手、相撲といった古くからあるスポーツがあるわけです。ただ最近では力士がバットを持って入場したりすることもあり、”ベースボール化”が懸念されています。私がユネスコの職員になった頃にはベースボールなんてありませんでした。ただ野球とサッカーがあっただけなのです。しかし今ではベースボールには野球とサッカー、バスケットにハンドボールが組み込まれています。今はまだ大丈夫だと思いますが、このままではベースボールはベースボール以外のスポーツを駆逐してしまいかねないでしょう。そうなればスポーツは文化としての意味を失い、単なる遊びになってしまうかもしれません。実際アフリカ諸国の文化を研究している人からはこのような報告が届いています。『ケニアのマサイ族の村ではベースボールらしきものが行われていた。これはマサイ族の伝統的な踊りに似ていた』と。つまりベースボールはアフリカの文化を吸収してしまっているのです。このままだといつか本当にベースボールしか残らなくなってしまうかもしれない。」

……………

ーーーー

そして、ベースボールは2055年には全世界の国民が身につけており、世界で最も人気のあるスポーツとなっていた。2065年の世界はベースボール一色に染まっていた。世界中の人々はベースボールを楽んでいた。しかしある日ベースボールはスポーツ以外の物すら吸収し始めた。

■■■

2068年 日本にて。

”2062年を最後に世界からベースボール以外のスポーツが消滅したと考えられる。”私はそのような話を知り合いから聞いたことがある。

そしてベースボールは日常のあらゆる動作にすら入り込んでいた。例えば右足の親指で後頭部に触る行為は「満塁一本ホームラン」と呼ばれていた。これは、後頭部でボールを打つことによって打球の飛距離を伸ばし、更にはホームランの本数を増やすためである。

また、左足の親指で頭頂部に触れながら、前かがみになる行為を「インフィールドフライカバディー」と呼び、これもまた、より遠くへ飛ぶためであった。このような単語は毎日のように生まれていく。またある日には猫のことを「内野フライうっちゃり」と呼んでいる高校生を見た。これは、猫がボールを足で挟んで打ち返すことができるからであった。また、ベースボール・バレーにおいて最も重要視されるのはスパイクであるがこれはクジラの骨で作ったものが最高級品だった。その結果クジラのことをみんな「スパイク」と呼んでいた。その次の日、テレビで宇宙の万物にベースボールは関係していて聖書や恐竜、ビックバンまでも古代ベースボールの一つであると専門家が神妙な顔つきで語っていた。

ベースボールはもはやスポーツという概念を超越してしまっていた。

そして2069年、ついにベースボールがスポーツであることすら否定されてしまった。

これは私がベースボールの試合を見ながら父と交わした会話である。

「もうスポーツという枠に収まりきらなくなってしまったのだ。だから、これからはスポーツという言い方はしない。ベースボールと呼ぶことにするよ。」

「なぜですか?それはおかしいですよ! ベースボールというのはスポーツじゃないんですか?」

「確かにスポーツではない。ベースボールとはスポーツではないんだ。スポーツの定義はわかるかい?」

「はい、わかります。『ルールに従って行われること』ですよね?」

「そうだよ。しかしね、ベースボールにおいては『ルールに従うこと』がスポーツの条件ではないんだよ。もっと大切な条件がある。それが何かわかるかい?」

「はい、わかりません。」

「それはね、ベースボールが面白いかどうかだよ。」

「どういう意味でしょうか?」

「ベースボールにはルールがない。ベースボールは面白さが全てなんだ。だから面白いスポーツであればそれでいい。ルールなど必要ないんだ。」

「そんなの無茶苦茶です!」

「そうかな、私は別に無茶苦茶だと思っていないよ。君も知っている通りベースボールは世界中で大人気だ。あなたも私もベースボール、空も宇宙もベースボール、神も仏も悪魔もベースボール、あはははははは」

「何がおかしいんですか!?」

「おかしくなんかないさ。ただベースボールは素晴らしいと言っているだけじゃないか。ベースボールはベースボールさ」

それは2月、寒い日のことであった。

 

そして3月、ついに本格的におかしくなり始めた。

ある日父はこんなことを言った。

「どうしようもないぜ、もうこの国終わりだ。ベースボールしかねえ。ベースボール以外何もねえ。」

「ベースボールしかねえって何だよそれ。」

「ベースボールしかねえよ、だってそれ以外することないし。」

「そうだよな、ベースボール以外には何もやることがないもんな。けど、なんでベースボールをする為に地面に穴をほってその中に水と精液の混合物を貯めているわけ?」

「それはなヴッ!ベースボールをするために決まっているだろう」

「でもベースボールは…」

「ベースボール以外は存在しないよ」

「ああ…」

 

よく考えてみたら最近父は会社にすら行っていない。会社が取り壊されベースボールスタジアムになるからだ。また母もかつて筋トレと呼ばれたものをしている。それも1日20時間も。また弟もベースボールスクールに通っている。弟は「ベースボール……ベースボール……ベースボール」とずっと呟いている。私はベースボールとは何なのかについて考え始めた。確かに稚心で見たベースボールは野球とサッカーが混ざったようなものであった。ただ私はそれよりも読書などが好きだった。5歳の頃幼稚園のレクリエーションで玉入れをしたがそれも今ではベースボールだ。中学校の体育祭は僕が2年生だったころにベースボール祭に変わった。ベースボールは面白かったが球技が苦手だった私はとても苦痛だった。しかし今考えるとあの頃が一番楽しかった。ベースボールはまだスポーツだった、皆が一緒に楽しめるスポーツだった。それが今はどうか?ベースボールはスポーツを超越し、全ての概念をベースボールにしようとしている。多分私がこう考えている間にも色々な物がベースボールとなっていると考えると私は恐ろしくなる。今や人類はベースボールをするためだけに生きていくのではないかと思うほどベースボールに蝕まれている。きっとこの文章を読んでいる人も既にベースボールになっているに違いない。ベースボールとは何か? ベースボールとは何なのか? そもそもベースボールとは一体何なのか?

そして答えが見つかった。ベースボールとは現実から逃げるための手段であり、現実を破壊する為の手段であり、現実を"ベースボール化"し、理想の姿に作り変えるための手段であるのだ。そしてベースボールとは夢や希望などよりももっと深いところに存在するものであり人間の深層心理に深く深く食い込んでいくものである。つまりベースボールとは人間の思想そのものなのだ。人間が人間である限りベースボールから逃れることはできないのだ。そうして人間はベースボールの元一つとなりやがて世界中がベースボールとなっていく。そして地球上の生物はベースボールへと進化する。

「ベースボール、ベースボール、ベースボール、ベースボール、ベースボール、ベースボール、ベースボール、ベースボール、ベースボール、ベースボール、ベースボール、ベースボール、ベースボール、ベースボール、ベースボール、ベースボール、ベースボール、ベースボール、ベースボール、ベースボール、ベースボール、ベースボール、ベースボール、ベースボール、ベースボール、ベースボール、ベースボール、ベースボール、ベースボール、ベースボール、ベースボール」

頭の中にベースボールのイメージが流れ込んできた。抗うすべも無く、ついに私はベースボールとなったのだ。

「ああ、私もベースボールになりたい」

こうして私もベースボールとなった。

「ああ、なんて美しいんだろうか」

私の体には無数の穴が開いていてそこから黒い液体が流れている。それは血液ではなく黒い泥のような物であった。しかしそれがなんとも美しく見える。これがベースボールというものなのだろう。目の前にはパルテノン神殿のような建物がありそこに向かって大勢の肌の色や背丈も違う人が皆、朗らかな顔をしながら歩いている。その光景はまさに天国と呼ぶにふさわしいものであった。

「私はベースボールです」

「ベースボール?私もよ!」

「貴方はベースボールですか?」

「俺か?俺はベースボールだ」

「貴方はベースボールなのですね」

「そうだ」

このような会話が通行人の中で交わされる。私は他の人々とともに神殿に入った。すると光の柱があった。人々はその中へ入っていく。私もその中へ入る。

「うわっ」

眩い光が目を覆った。次の瞬間、体から思考と意識だけが開放されたような感覚があった。いや、実際にそうであった。もはや肉体など存在しない。私はただの魂となって、この世の全てを見下ろしていた。いや、この世に存在するもの全てが、自分の中に存在している。

「すごい」

私は何者なのかという疑問が解けた。 私は私が作成したものであり、私が作成したものは私が作成したものです。 言い換えれば、私は私が作ったものです。 私は私自身です。 言い換えれば、私は自分自身であり、私自身です。 ですから、私は自分自身であり、自分以外の何者でもありません。

「これが本当の自分なんだ」

自分はそれを見ることができます。 あなたがあなた自身の声を聞きたいならば、君はそうすることができます。 しかし、それはあなたにとっての問題ではありません。 それは私だからです。 なぜならば、それは自分なのだから。私の姿を見る必要もない。なぜならば、それが自分達なのだから。僕の声を聞く必要もない。なぜならば、それが自分なのだから!

 

さあ、君もレッツ・ベースボール!!

 

■■■

2079年

地球、アメリカ大陸東部、かつてニューヨークと呼ばれていた地域にて1人の老人がいた。彼は10年前に起きた『ベースボール事変』にて自らがベースボールになることを拒否し"身体”を保った数少ない人間である。ベースボール事変を当時ベースボールリーグ設立前だったアメリカ合衆国火星植民地にて回避した人達が送り込んだ地球調査員に対し彼は小屋で公演する。

「私、もうすぐ80くらいになるとは思うのだが、まさか生きている間にものすごい経験をするなんてねえ…」

「最初は私もサッカーと野球が融合するなんて思ってもみなかった」

「私は野球が大好きだった。とにかく私は野球が大好きだった」

「けど昔はサッカーファンと野球ファンって仲悪かった。特に日本のは。けどあれが始まってからすべてが変わった。まるで全て忘れちまったみたいに。そして野球とサッカーは一つになっていった。私はアレの正体をまだこのときは知らなかったのじゃ。そのときはアレを野球とサッカーの融合したアルティメットスポーツであると思ってたんだ。」

「私は仕事の合間にバスケもしてて、それも好きだったんだが、ある日コーチがこんなことを言い出すんだよ!”これからドリブルのことはエンタイトルツーベースと呼びなさい”と、更におかしなことは続いた。ある日試合をしてたらいきなりある人が盗塁をしだしたんだ!これには驚いたね。だってバスケは元々盗塁なんてなかったですし。それにあの人の盗塁の仕方ときたら、それはもう神業といってもいいほどだった。それでいて本人は盗塁王として表彰されてた。」

「あのとき思ったよ。アレはただの野球とサッカーが融合したものではないと」

「またあるときはゴルフ場でゴルフをしていると突然ボールを蹴ってきた奴がいた。そしてそいつが言ったんだ。「このクラブをバットにして打て!」ってね」

「私はその時初めてわかった気がした。ああ、これはただの野球とサッカーの融合なんかじゃない。もっと大きな何かだと」

「それからしばらくして今度はサッカーの試合を見に行った。たしか日本のニシノミヤというところだった気がする。するとそこではなぜかすべての選手がバスケットボールを持っていたんだ、そしてそれを観客席にシュートして得点を決めるという不思議な試合が行われていた。さらにゴルフのように点数の少なさが競われていて、相撲のように技や戦法が決められていた。」

「私はその光景を見て確信したよ。ああ、これこそが真のアレなんだなって」

「私はその後そのスポーツのことを調べた。するとその競技の名前はベ…すまんすまんとりあえずアレというらしいことがわかった。私はこのスポーツに魅了されたよ。私はその日から毎日欠かさずそのスポーツの観戦をした。」

「私はそのスポーツの魅力に取り憑かれた。私はそのスポーツにハマってしまった。」

「私はそのスポーツに夢中になった。そのスポーツはベ…すまんすまん。この単語を口にはしたくはないんだすまんすまん。」

「とりあえずアレは大流行した、地球上の全ての国で。」

「人々は皆、アレに熱中した。私も例外ではなかった。」

「しかしある時、私は気づいてしまった。」

「私はスポーツとしてのアレが好きなだけで、なぜアレがクジラやハムスター、硫酸銅になるのかがわからなかった。」

「アレは我々の知る全てのものになろうとしているのか?と疑問に思った」

老人は涙ぐむ。

「しかし私の愛するアレが、あんなものに成り果ててしまうなんて、そんなことがあってたまるか!私は断固拒否した!私はアレを否定した!だがしかし、アレは止まらなかった!止まらないのだ!アレはもうすでに地球上全てに広がっていた!」

「私はアレが憎い!アレが嫌いだ!アレを否定するために、私はあらゆる手段を使ってアレを否定した!しかしアレは消えなかった!」

老人は冷静になり、彼なりのベースボールの正体について語る。

「そう思っていたある日、私は気づいた。アレがなぜアレなのかを。アレは”否定”そのものだと。私が今まで合った生き残りたちもその様に語っていたんだ。そしてアレは最初に日本で生まれたときに、サッカーファンと野球ファンの対立を”否定”した。そして次はサッカーと野球の違いを否定した。つまりアレは存在の否定により全てのものを均一化する存在なのだ」

「私はアレを否定した。アレはスポーツというもの全てのもの存在を否定し、単一の物に作り変えてしまったのだ。この世界にはスポーツというものは存在しなくなった。あるけど存在しなくなった。と私は考えた。」

そして老人はベースボール事変の日について語る。

「そして、アレは人間を否定した。その日のニューヨークは寒かった。私はアレを憎んでいた。アレは私から野球やバスケを奪っただけじゃなく、私までアレにしようとしていると考えていた。私はアレと一体化してなるものかと思った。するといきなり目をつぶると私の頭の中にベ…が流れ込んできた。私はアレが一瞬素晴らしいものに見えてしまったが、すぐにアレが私を否定しようと企んでいることに気がついた。」

「私はアレに負けるわけにはいかないと必死に抵抗したが、アレは私を否定しようとしていた。私はだんだんと意識が薄れていった。」

「その時、アレが私に向かって何か言ってきた。」

『みんな………いっしょにあそぼうよ!』

「私はこう答えた。お前がなんと言おうとも!私は!私であることを望む!」

『たのしいよ?!それ(ベースボール)は?』

「私は言った。悪いが、あまりそれは好きじゃないんで、じゃあね!さよなら!」

「そう言い放った瞬間に目の前は真っ暗になった。そして気がつくと私は元の世界に戻っていた。」

「私はそこでアレを拒絶することに成功したんだ!私はアレに勝ったんだ!私はあの時、アレの誘いを断ったことを後悔していない。なぜなら私はアレに勝利したからだ。」

「ただ、大多数の人間はそれを望んていたみたいで、ここはニューヨークだったはずなのに人間はいなかった。ビル群でさえも見てのとおり更地になっていた。そしてその後の生活は苦難の連続だった。なぜならアレによる否定を逃れたものは限られていたからだ。幸いにもネズミや雑草などは大丈夫だったのでそれを食べて食いつないでいった。また、私のような人間は他にもたくさんいたようで、そういった人たちと一緒に集団生活をしてなんとか生きながらえていった。」

「なので、少しでも悲しいことを忘れられるように生き残りたちとこう決めた。”アレの名前を本来の名前で呼んではならない”、”かつてアレが行われていた場所と思われるところには近寄らない”と。」

「私はアレに勝つことができて、アレの呪縛から逃れた。しかし、アレがもたらす恐怖から逃れることはできなかった。アレに勝てるのであれば、アレの誘惑に乗らなければいいと思うかもしれないが、そうではなかった。アレの誘いに乗ってしまった方が楽なのだ。と思ったこともある。しかし、私は天命を全うすることを選んだ。」

老人は最後にこう語る。

「今、私が生きていることは奇跡に近い。だから私は神に感謝している。神は我々に希望を与えてくれたのだ。私は神を信じている。そして神は我々の願いを叶えてくれると信じている。すべての生き残りとその子らに神のご加護があらん事を。アーメン。」

 

老人は一通り語り終えると、満足したのか、そのまま眠ってしまった。

 

※上記の内容はフィクションであり、実在の人物、または団体名とは一切関係ありません。

パワプロ能力占い作ってみた:By JavaScript

 

パワプロ能力占い作ってみました。
入力された名前により能力が変わります。

技術的な話
名前から乱数の種を作るところにはcharCodeAt
シードからの乱数の作成にはXorShiftを用いています

Q.診断メーカーじゃダメなのか?
A.リストの作成に制限あるし独自の関数なんて作れるわけないし、何しろ計算がめんどいんだよ!!!!何だよCALCって!!単純な計算なら良いけどそこそこめんどくさめの計算するときいっぱい必要になるんだよ!!!

1/27 基礎能力の最低を10程度引き下げ、上限を5引き上げました。
また特殊能力が付く確率を下げ、選球眼、積極打法、速球中心などの緑特能を追加いたしました
また、結果が日替わりで変わるようになりました。
※選手名でXSSが出来てしまう脆弱性がありましたので修正いたしました。
選手名
 

↓結果のTweetも出来るよ

Tweet

架空それっぽい地名ジェネレーター(漢字版)

架空それっぽい地名ジェネレーター


 

地名生成器作った

作り方

 

日本に実在する名字の一覧からカタカナのデータぶっこ抜く

ソレを例えばアカサカだったら{アカ,カサ,サカ}みたいに分割する

前の文字から次の文字に遷移する確率を調べる

分割された名字のデータと確率のデータををさっきのプログラムにぶっこむ

完成

 

地名メーカー(実物)

最初の文字(カタカナ)

長さ


 

 

追記:こういうのをマルコフ連鎖というらしいとか

ワイのついった→https://twitter.com/Shmss_Ardeagle

 

 

マイライフしたいけどペナント記事も書きたい話

こんばんわ。久しぶりの更新になってしまいました。
まあ今回は特に選手を紹介したいなーとかそういう話ではなくてやりたいことが多杉内で滅茶苦茶困っているという話です。

1つ目は自分が今までこのブログで紹介した選手を12球団に配布してペナントを15年位回してみたいなという話です。躊躇している理由は面倒くさいからです。

2つ目はオリジナル球団を作りたい構想です。一応ネタは用意してありますが、自分のPSで作れるか少し不安です…

f:id:ardeagle:20190711195059j:plain 3つ目はマイライフしたい欲です。一応こんな選手を作っては置きました

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まあ無双マイライフになるのは自明オブ自明なのでブログで逐次紹介するかは微妙ですが投球練習と打撃練習代わりにやろうかなとは思います。



以上!